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 昭和の持つマジック 「珈琲時光」

監督:候 孝賢(ホウ・シャオシェン)    2003年日本映画 108分

お話)
ある夏の東京の日々、フリーライターの陽子(一青 窈)は、ひょうひょうと街を電車に乗って移動する。都電荒川線、JR山の手線。JR中央線。御茶ノ水付近でいくつかのJR電車がみごとに交差する。親しい友人(浅野忠信・・実は鉄ちゃん♪)が、店主を務める神保町の古本屋。昭和の匂いがぷんぷんのレトロな行きつけの喫茶店。彼女は都電沿線のやはり昭和なムードのアパートに住んでいる。隣に大家さんが住んでいて、たまに調味料を借りたりもするという、今時珍しい下町な交流をしている。離れて住んでいる両親との仲も良好で頻繁に行き来しているようだ。

映画が始まると、彼女らの現実がすくいあげられ、静かに話は進行していくのだが・・
ひとつだけ、彼女はドラマチックな秘密を持っている。
親しい人にはそのことを話すのだが、
「今日、お昼にカレーを食べすぎちゃって・・ちょっと気持ち悪いの。」
といった程度の重さでしかない。(カレーとは実際言ってないですよ。)
秘密は物語をかき乱すことなく、それでいて、秘密が親しい人の内に浸透しながら、
映画の始まりのように、ゆっくりと時間が流れていく・・。
でも、決して終わりは、始まりとは、同じではないはず。


感想)
あなたは、映画に何を求めますか?
答には個人差があると思うけど・・私の場合は「ここではないどこかに行きたい!」ということです。(旅行の場合もそう)
この台湾人の映画監督が好きです。
でも、現代の日本映画は、それをかなえてくれないので、基本的には苦手です。
映画がスタートしてしばらくは現実から逃れられなくて苦しみました!
自分のテリトリーとは違うけれど同じ東京だし。ひょうひょうとしている主人公は私にも似てるし。リアルな日本語が耳につくし。困ったな・・・・。

ところが現代の東京でありながら、彼女らが移動する場所、場所は、昭和の匂いがするところばかり。今ではちょっとだけ失いかけたものがまだ残っている。
実際にも、そんな昭和を探すことは可能で、簡単なことだと思います。

いつのまにか私は、昭和の持つマジックにかけられていました。
映画が終わる頃には、こころの奥底から湧いてくるあたたかさを確実に感じたし、
私をとりまく風景、人々でさえもあたたかいように感じられた。
ここではないどこかは、遠い距離のどこかではなく、こんなに近くにあったということかな?
いい映画でした。

■ 鉄道ファンの方には嬉しい映画かも?
■ 起承転結はない話なので、淡々とした話が苦手な人にはお勧めしません。

蓮實サンってどこに出てましたか~??
by harumisan | 2004-10-07 14:46 | 映画・book・art

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